2024.12.04|

「古代人」古墳で舞う
夢や目覚め、しなやかに
アート・フェスで披露

簓を鳴らしながらダンスするワークショップ参加者や講師(京丹後市丹後町竹野・大成古墳群)

丹後地域を拠点に国内外で活躍するダンサー・宮北裕美さん=与謝野町=のワークショップ参加者の発表会が、京丹後市丹後町竹野の大成(おおなる)古墳群であった。音を表現の主体とした日本のサウンドアーティストの先駆者として知られる鈴木昭男さん=同=も加わり、5人が創造した「古代人」のダンスを古墳で披露した。

京丹後市などが主催する「京丹後アートフェスティバル」の一環。宮北さんを講師に迎えた「たんごのだんす、どうなっとるだあ」と題した、10月からの4回のワークショップには、京丹後市や宮津市の7人が参加した。京丹後市教委文化財保存活用課の職員から、装身具などの古墳の出土品について学び、ダンスを考えた。

発表会の舞台となった大成古墳群(6世紀末~7世紀初め)は、日本海に面して巨岩の立岩を望み、石室が露出する。宮北さんは公演の前に「古代人がどんなダンスをしていたのか、記録がない。個人の概念がなく、一体となったダンスをしていたのではと参加者で話し合った」と説明。地元に伝わる踊り「竹野テンキテンキ踊り」にちなんで鈴木さんが考案した独自の楽器「簓(ささら)」を5人が鳴らした。

5人は輪になってリズムを合わせて、竹ひごの束で棒状の簓をたたいたり、こすったりした。古代人の目覚めや夢などをテーマにしたソロパフォーマンスを、古墳群を移動しながら上演した。

最後に宮北さんと鈴木さんが共演し、鈴木さんの石の笛に呼応するように、宮北さんが石をカスタネットのように鳴らしてしなやかに踊った。観客は古代に思いをはせながら見入っていた。

ワークショップに参加した、京丹後市大宮町のデザイナー川口優子さん(39)は「朝日を浴びて目覚める古代人の心を感じ取って踊れた」と喜んだ。

 

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石を鳴らしながら踊る宮北さん
日本海が一望できる大成古墳群