「野村イズムで楽しく」
名将の功績たたえる
元阪神、赤星さん


プロ野球で捕手、監督として活躍した故野村克也さんの功績を伝える講演会が12月14日、故郷の京丹後市網野町のアミティ丹後であった。野村さんが監督を務めた阪神タイガースでプレーした赤星憲広さん(48)が登壇し「野村イズムを学んだことで、野球の楽しさを知った」などと恩師との思い出を語った。
2000年にドラフト4位で野村監督率いる阪神に入団した赤星さんは、お笑いタレントの山田雅人さんと対談する形で当時を振り返り、「試合中はとにかくベンチで野村(監督)さんの横に座るようにしていた」と明かした。
試合中は野村さんから「このカウントなら投手は次に何を投げると思うか」などとよく質問されたため、常に打者のタイプや走者の有無などを頭に入れ、「打席に立っている感覚で話を聞いていた」という。
赤星さんは「相手のことを考えてシミュレーションすることは、当時の阪神で僕が誰よりもやっていた」と話し、「野村さんと一緒にできたことが後の野球人生につながっている」と感謝した。
講演に続き、タレントの山田雅人さんと赤星さんとのトークショーも行われ、山田さんがファンの目線で話を引き出した。
山田 阪神は昨年優勝、今年もAクラスだが、昔は5位や6位(が定位置)だった。
赤星 僕が(入団後に)一番衝撃的だったのは、「野村ノート」という本をキャンプ前にいただいて、キャンプインの前日に読み込んだんです。初日の全体ミーティングで着席すると、ルーキー以外で野村ノートを持参していたのは40人ほど選手がいた中で2人だけなんですよ。
山田 どんなチームなんですか、それは。学ぼうという気がベテランにはないんやね。
赤星 それを見た時に何でだろうと思ったんです。ミーティング終了後に野村監督に集められ、「今のチームに染まらないで。お前らがなんとか変えてくれ」と呼びかけられました。
山田 そういう歴史があって今の阪神があるんですね。
山田 会場の球児からの質問です。「ベンチにいるとき、相手のどこを見て盗塁のスタートを切れると判断しますか」と。
赤星 これは、いろいろ見るところはあります。
山田 え、塁上ではなくベンチにいる時でしょ。
赤星 ほかのランナーが塁に出たときに、投手がどんな動きをするかを見なければいけない。またキャッチャーの構えがどういうときに変化球を投げさせているかとか。くせが出るわけです。
山田 それを見ておくんだ。
赤星 キャッチャーによっては、ワンバウンドを捕るとき、フォークのサインを出したときに構えを変えるんですよ。
山田 後ろにそらしたらあかんからや。
赤星 それを見ておくと、一塁の塁上に行ったときにキャッチャーの構えで「これはアウトコースのストレートだ」とかがわかるんです。
山田 へえー。
赤星 あと僕が見ていたのは二遊間ですね。次のバッターのときにはこう入るから、スライディングの位置を変えようとか。
山田 なるほど、ベンチにいる時もぼーっとしていたらあかんね。
この講演会は市民の有志らでつくる「野村克也さんを忘れない」人々の会などが催し、約400人が聴いた。
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