2024.12.18|

「野村イズムで楽しく」
名将の功績たたえる
元阪神、赤星さん

故野村さんとの思い出を語る赤星さん(京丹後市網野町・アミティ丹後)
アミティ丹後内にある「野村克也ベースボールギャラリー」を見学する在りし日の野村さん(2018年3月)

プロ野球で捕手、監督として活躍した故野村克也さんの功績を伝える講演会が12月14日、故郷の京丹後市網野町のアミティ丹後であった。野村さんが監督を務めた阪神タイガースでプレーした赤星憲広さん(48)が登壇し「野村イズムを学んだことで、野球の楽しさを知った」などと恩師との思い出を語った。

2000年にドラフト4位で野村監督率いる阪神に入団した赤星さんは、お笑いタレントの山田雅人さんと対談する形で当時を振り返り、「試合中はとにかくベンチで野村(監督)さんの横に座るようにしていた」と明かした。

試合中は野村さんから「このカウントなら投手は次に何を投げると思うか」などとよく質問されたため、常に打者のタイプや走者の有無などを頭に入れ、「打席に立っている感覚で話を聞いていた」という。

赤星さんは「相手のことを考えてシミュレーションすることは、当時の阪神で僕が誰よりもやっていた」と話し、「野村さんと一緒にできたことが後の野球人生につながっている」と感謝した。

講演に続き、タレントの山田雅人さんと赤星さんとのトークショーも行われ、山田さんがファンの目線で話を引き出した。

山田  阪神は昨年優勝、今年もAクラスだが、昔は5位や6位(が定位置)だった。

赤星  僕が(入団後に)一番衝撃的だったのは、「野村ノート」という本をキャンプ前にいただいて、キャンプインの前日に読み込んだんです。初日の全体ミーティングで着席すると、ルーキー以外で野村ノートを持参していたのは40人ほど選手がいた中で2人だけなんですよ。

山田  どんなチームなんですか、それは。学ぼうという気がベテランにはないんやね。

赤星  それを見た時に何でだろうと思ったんです。ミーティング終了後に野村監督に集められ、「今のチームに染まらないで。お前らがなんとか変えてくれ」と呼びかけられました。

山田  そういう歴史があって今の阪神があるんですね。

山田  会場の球児からの質問です。「ベンチにいるとき、相手のどこを見て盗塁のスタートを切れると判断しますか」と。

赤星  これは、いろいろ見るところはあります。

山田  え、塁上ではなくベンチにいる時でしょ。

赤星  ほかのランナーが塁に出たときに、投手がどんな動きをするかを見なければいけない。またキャッチャーの構えがどういうときに変化球を投げさせているかとか。くせが出るわけです。

山田  それを見ておくんだ。

赤星  キャッチャーによっては、ワンバウンドを捕るとき、フォークのサインを出したときに構えを変えるんですよ。

山田  後ろにそらしたらあかんからや。

赤星  それを見ておくと、一塁の塁上に行ったときにキャッチャーの構えで「これはアウトコースのストレートだ」とかがわかるんです。

山田  へえー。

赤星  あと僕が見ていたのは二遊間ですね。次のバッターのときにはこう入るから、スライディングの位置を変えようとか。

山田  なるほど、ベンチにいる時もぼーっとしていたらあかんね。

この講演会は市民の有志らでつくる「野村克也さんを忘れない」人々の会などが催し、約400人が聴いた。

 

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山田さんや会場の質問に答える赤星さん