「あしたの畑」
間人から生まれるアート
NPOが4拠点で限定公開


京丹後市丹後町間人地区周辺を舞台に「あしたの畑」と名付けられたアート活動が行われている。美術家や工芸家、建築家、料理人が集落の民家や織物工場を改修し、国内外の作品展示や食のイベントを実施している。四つの拠点を16日までの限定公開中で、丹後に根ざした作品や建築物を鑑賞できる。
活動は、瀬戸内海の島にある「地中美術館」(香川県)や「豊島美術館」(同)のキュレーターを務めた徳田佳世さんを理事長とするNPO法人「TOMORROW」(京都市左京区)が進める。
徳田さんが2020年に丹後町の大成古墳群を訪れた際、日本海に面した石室の風景に感動して「アーティストがインスパイアされる場所」と感じたという。アートと食で人々が集まり、学ぶ場を生み出す「あしたの畑」が始まった。
21年には間人地区の古民家を建築と工芸を結ぶ試みとして「間人スタジオ」に改修。建築家や陶芸家らが地元の土を使った壁をつくり、宮津市の紙すき職人の和紙を貼った空間をしつらえた。2階には、木工芸職人中川周士さんが手がけた直径約4㍍の木おけ状の部屋も設けた。
竹野神社前には、米国の現代美術家や中川さんらが、天井部が開口した曲面空間を木造で創造した常設作品のほか、世界的に活躍する建築家西沢立衛さんの設計した納屋も設置した。京丹後市や京都市の料理人と地元食材を使った料理を提供するイベントも行った。
昨年は、間人地区の元織物工場を活用したギャラリーをつくり、現在は赤土で作られた壁や机の空間が広がるアーティストの滞在施設を制作する。徳田さんは「茶室や図書ルームも作りたい。アートや暮らし方が学べる教育プログラムが実施できたら」と思い描く。



公開中のスタジオでは、写真家畠山直哉さんが巨岩「立岩」を撮影した作品も見ることができる。ギャラリーでは韓国人アーティストの丹後ゆかりの浦島太郎にちなんだテキスタイル作品などを展示する。入場料は千円で予約制。火・水曜日休み。
夏の8月9日~9月15日、秋の11月10日~24日にも、土日月祝限定で公開する予定。
ホームページアドレスはhttps://tomorrow-jp.org
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