循環型社会を思う
リサイクルの日
あなたは何を回す?

江戸の人気戯作(げさく)者・滝沢馬琴は、便所の汲み取り騒動を日記に書く。農民からの謝礼は家族1人あたりナス50個だが、少量の幼児分はない。納得いかない馬琴はナスを突き返した。
かの時代はリサイクル社会だった。ふん尿や灰は肥料、染料などに。多くは回収と処理のネットワークがあり、無駄なく回した(アズビー・ブラウン「江戸に学ぶエコ生活術」)。
10月20日は、リサイクルの日。月日の10と20から、「物がひと回り、ふた回り」する語呂合わせとか。近年注目されるのが、使用済みペットボトルの「水平リサイクル」だ。こちらは新たなボトルに再生し、回し続ける。

回すのがうまいのはどこだろう。ごみの排出量から資源化した割合を示すリサイクル率で、国内1位は鹿児島県大崎町。全国の平均が約2割の中、8割を超える。28品目のごみを分別し、紙おむつも再びおむつに。
京都府内では、綾部市が約5割と奮闘する。支えているのは50世帯に1人のリサイクル推進員で、地域で分別、減量を率先する。循環の仕組みや工夫だけでなく、「もったいない」の心も回したい。

衆院選の真っただ中、候補者らが舌戦を繰り広げる。停滞した政治をどう回すか。将来を見据え、暮らしの視点を大切に、私たちの一票を投じるのがいい。その訴えに納得して。

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