土壇場で逆転 初代王者に
丹後緑風高カヌー部
田村淳希さん
3月に初めて開催されたカヌーの全国高校選抜大会で、男子2年カヤックシングルを接戦の末に制した。「初代チャンピオンになりたいと思って練習してきた。1位になれて良かった」とはにかむ。
周回コースの5千メートルを競う。25艇が一斉にこぎ始めるため「出遅れると前の選手の波を受ける。最初の200メートルでスピードを出そうとしたが、思ったようなスタートを切れなかった」。滑り出しは3位にとどまった。
それでも最初のコーナーで内側を突いて先頭に立つと、その後はライバルとデッドヒートを繰り広げ、わずかなリードを許してラストの直線を迎えた。疲労もピークに達する中で「最後は気持ちでこいだ」。土壇場で抜き返し、2位と0・32秒差で栄冠に輝いた。
京丹後市久美浜町生まれ。もともと陸上の短距離をしていたが、兄の影響で小学5年から地元のクラブでカヌーを始めた。自然を感じられるのが魅力といい、「雨が降ったり、強い風が急に吹いたり。春になれば山に野桜が咲いているのが見え、『きれいだな』と思う」とにっこり笑う。
長い両腕が強みといい、「1回のパドリングで長い距離を引けるので楽に進められる」と話す。丹後緑風高カヌー部の小西鉄也監督は「身体能力は高くないが、持って生まれた水をつかむセンスがある。力任せではなくリズムよく船を前進させる」と評する。
ジュニア日本代表に初めて選出され、7月にポルトガルで開かれる世界選手権に挑む。「自分の立ち位置を知る良い機会。欧州の強い選手を間近で見て自分の成長に生かしたい」と、世界デビューを心待ちにする。
8月の全国高校総体(インターハイ)も大きな目標の一つ。昨夏はカヤックペアで3位に入ったが、個人種目でも頂点を見据える。「(瞬発力を生む)筋力が足りないのが課題。もっと持久力も高めたい」と、肉体改造に力を注いでいる。
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