2025.06.26|

食の創造へ協働
丹後と韓国の料理人
地元食材と伝統融合

日韓でメニューを考え、料理を提供した吉岡さん(右から3人目)、チョさん(同4人目)、パクさん(同5人目)ら=京丹後市弥栄町・魚菜料理縄屋

日本と韓国の料理人が協働して食を創造する食事会が6月上旬、京丹後市弥栄町の「魚菜料理 縄屋」であった。同市で活動するNPO法人が食や工芸、アートなどでの日韓の「架け橋」を目指すプロジェクトの第1弾。地元食材と韓国の伝統料理を融合したメニューが考案され、日韓の料理人が技や文化を学びあった。

食事会は、同市丹後町間人地区でアート活動を展開するNPO法人「TOMORROW」(京都市左京区)と、韓国・ソウル市の文化遺産研究所「ONJIUM(オンジウム)」が立ち上げたプロジェクト「SEA BRIDGES」の一環。

本年度は「私たちの未来の食卓2030」をテーマに、オンジウムの韓国伝統料理レストランのシェフ、チョ・ウンヒさん(54)とパク・ソンベさん(45)が来日し、国内外で高評価の縄屋の吉岡幸宣さん(50)とメニューを考えた。7、8日に縄屋で12品を出し、京都市や京丹後市、東京都、韓国などの30人が堪能した。

ルッコラソースのアユの天ぷら(料理写真はいずれも「TOMORROW」提供)
地元産の野菜やタケノコと合わせたタンピョンチェ

食事会では色彩や味、栄養価の調和を大切にした韓国伝統料理「タンピョンチェ」は、緑豆でんぷんを固めた麺に吉岡さんの畑でとれた野菜、日本固有種のマダケのタケノコを使用した。

シカ肉を使ったビビンパ
白いキムチを乗せたレンコダイの蒸し物

シカ肉を使ったビビンパや日韓のみその汁物のほか、レンコダイの蒸し物には白菜の白いキムチをのせた。ルッコラソースで味わうアユの天ぷら、府北部特産のトリガイや万願寺とうがらしの料理もあった。

韓国の2人のシェフは新鮮な野菜や魚介類、シカ肉などに魅了されたといい、パクさんは「伝統的なものにとどまらない縄屋の料理だけでなく、花をしつらえた空間やお皿へのこだわりも印象的」と話した。

10月には吉岡さんが韓国を訪れる予定で、「韓国料理の食材を混ぜて出すところが特に学びになった。韓国の食材を自分のフィルターを通して料理したい」と語った。

プロジェクトでは工芸での協働として韓国の文様を取り入れた唐紙を使った屏風や韓国の織物のついたても日韓で制作し、11月に間人地区で展示する。

 

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