2026.08.17|

お盆の精霊送り
丹後は灯籠と精霊船
平和、亡き人、被災地思う

幅広い分野で活躍した寺山修司(人間社刊「寺山修司 母の歌、斧の歌、そして父の歌」より)

詩や演劇、競馬評論など幅広く活躍した寺山修司は若き日、俳句に最も熱中した。10代の作品にある。〈流すべき流灯われの胸照らす〉。

戦病死した父の灯籠だろう。幼い頃に出征し、不在のままだった亡父への複雑な思いを、火影が映し出す。流灯に心は揺れる。

お盆に迎えた先祖の霊を送る「精霊送り」は、全国各地で行われる。81年前の終戦が重なり、戦没者を追悼する営みにもなった。夕闇に焚かれる灯籠や送り火は、あの世とこの世を橋渡しする役割があるという。

宮津市でもきょう16日は、精霊(せいれい)船と約1万個の灯籠を海に流す花火大会が催される。船は初盆を迎えた故人の各家が作り、造花やモール、吹き流しなどで豪華に飾られる。盆の間、玄関前や車庫に置かれて有縁の人々が静かに手を合わせた。

 

初盆を迎えた故人をしのんで作られた精霊船(宮津市内)
花火打ち上げの前に燃やされる精霊船と取り巻く紅白の灯籠。炎が高く燃え上がるほど故人の極楽往生が決まると伝わる(宮津湾)

ほのかな供養火と、色鮮やかな大輪に象徴される風物詩だが、暗雲もかかる。物価高騰の影響で運営は厳しく、今年初めてクラウドファンディングで市内外から寄付を募った。伝統の火を絶やすことなく、つながりの大切さを確かめる行事になれば、と願う。

俳人・坪内稔典さんの句集『水のかたまり』を開いて見つけた。〈曳航(えいこう)というかたちして八月は〉。

平和の尊さや亡き人、そして、被災地に心を寄せる。その思いは歳月の波を越えて引き継がれる。

 

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