丹後の魅力ウィキペディアで発信
効果まとめた本出版
高校の図書館司書


丹後地域にまつわる事柄をインターネット百科事典「ウィキペディア」に執筆、編集するイベントを企画してきた図書館司書の伊達深雪さん(46)=与謝野町石川=が、活動を紹介する本を出版した。多くの人にまちの魅力を伝える効果や人と人がつながり、新たな項目づくりへと展開する過程を描いている。
京丹後市の丹後緑風高久美浜学舎で司書を務める伊達さんは、「狛猫(こまねこ)」で知られる金刀比羅神社(同市峰山町)で開かれた催しで「こまねこまつり」の記事を作成する企画に取り組んだのをきっかけに、「ウィキペディアタウン」と呼ぶイベントを府北部で実施してきた。
本のタイトルは「ウィキペディアでまちおこし」。13章からなり、網野町の琴引浜や丹後町の宇川地区など各地での活動を執筆に欠かせない人物や資料とともに伝えている。企画を通じて知り合った人と、他のまちで新たな項目づくりに取り組む様子も盛り込んだ。
お隣の宮津市上世屋地区に残る伝統技術「藤織り」を編集した章では、地区出身で愛知県に住む男性が項目の閲覧をきっかけに、技術を継承する「丹後藤織り保存会」を訪ね、母親の世代が携わっていた藤織りを継承してくれている現状に感極まったことを紹介。伊達さんは「ウィキペディアがつないだ縁」と振り返る。
最終章ではウィキペディアタウンを企画したい人に基本的な考え方を説明している。
伊達さんには、京丹後市内に約170ある大字(おおあざ)の地区名の記事をつくる目標がある。記事ができたら、その地区に住む人やそれを知る人がさらに詳しい情報を書き加えてくれるかもしれず、「自分も書いてみたい、写真を載せてみたいという人が増えてもらえたらうれしい」と期待する。
B6判326ページ。紀伊國屋書店刊。2200円。
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