親子でつなぐ絹入りそば
鰹だしでするすると
花まき屋
毎朝、手打ちをするそばには、絹織物「丹後ちりめん」が特産の与謝野町にちなむシルクパウダーが入る。かつお節の効いただしとからみ、するすると食が進む。季節の野菜や酢の物の小鉢やご飯を付けて定食セットにすると、満腹になる。
厨房に立つのは、小牧孝行さん(41)と母親の俊子さん(75)。創業は1981年で、俊子さんと夫の嘉和さんが与謝野町算所で店を始めた。嘉和さんは兵庫県豊岡市出石町のそば職人で、俊子さんは「開店当時はそば屋が少なく、そばの花をまく意味と小牧のまきをかけた。スナック帰りに食べに来るお客さんが多くて、夜中も営業していた」と振り返る。
現在の場所に移転し、嘉和さんが2007年に亡くなった後も、俊子さんが店を続け、「地域の活性化に」との思いで、シルクパウダーの「絹入りそば」を始めた。
10代から料理の道に進み、京都市で働いてきた孝行さんは、俊子さんが高齢になったこともあって「店を守りたい」と昨年4月に帰郷した。
店では出石名物の皿そばのほかに、昆布や卵、山かけなどのそばが味わえるほか、町内の製麺所のうどんも提供している。孝行さんが居酒屋で働いていた経験を生かして、刺し身や唐揚げ、ミンチカツなどの一品メニューも充実している。
孝行さんは「与謝野は野菜や米の産地であり、海も近いので、地産地消をできるかぎりしたい。親子3代で通う人もいて、地域に愛されるまちの食堂であり続けたい」と意気込む。
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