女子サッカーチーム
地域活性化挑む
カフェやイベント
6月11日(日本時間12日)に開幕したサッカー・ワールドカップ(W杯)で日本代表への期待が高まる中、京都と滋賀の女子サッカーチームが中山間地の活性化や住民の交流機会の創出に挑戦している。若者が減りつつある中、他府県から移り住んだ女性たちが選手としてだけでなく、働き手としても貢献する新たなビジネスモデルとして、地域に果たせる役割を模索している。
人口約4万8千人の京丹後市。市内で活動する「KYOTO TANGO QUEENS」は1月、峰山町に活動発信拠点としてカフェをオープンした。店内では、スポンサー企業のミルクやコーヒー豆を使ったカフェラテを提供。大型画面にチームの試合映像を流す予定で、W杯の期間中はパブリックビューイングを企画する。
「地元のみんながユニホームを着て集まり、夜はお酒を飲みながら試合の話をする。そうなれば、面白い」。チームを運営する吉野有香社長(35)は語る。「スポーツの力で街を一つに」との思いを胸に、5年前に東京都から移住し、チームを立ち上げた。関西リーグ1部を舞台に戦い、将来は地元の協力を得ながら廃校を活用した「スタジアム」整備の夢を描く。
これまでに寮を提供し、交流サイト(SNS)で選手を募集した。他府県から社会人11人が移住し、福知山市など近隣に住む中高生らも含め計30人で活動する。コンセプトは「勝っても負けても応援されるチーム」。スポンサーは設立当初の4倍となる約60社が名を連ねる。
吉野社長をはじめ、選手たちは競技だけにとどまらず、地域や地元の子どもを元気にしたいとの思いが強い。企業の清掃活動や、地域の祭り、防災活動に協力するほか、高齢者の見守りにも取り組む。府立高で地域コーディネーターを務める河邊花観選手(32)=北海道出身=は「大人が諦めずに楽しそうにしていないと若者は地域に帰ってこない。サッカーも仕事も本気で楽しむ姿を体現したい」と力を込める。
滋賀県甲賀市にも、街を盛り上げようとしている女子チームがある。地元クラブを母体に24年に始動した「SASAYURI FC SHIGA」。「滋賀・甲賀に笑顔を届ける」を理念に関西リーグ2部で活動する。
メンバーは関東などから移住した人や県内在住者など10~20代の24人。社会人選手は平日午前は練習で汗を流し、午後はスポンサー企業の社員として、ガソリンスタンドやホテルなどで働く。平日6時間勤務の「アスリート契約」を利用する選手もいる。
定期的に開かれる試合に加え、ファン向けの交流イベントが多いのも特徴だ。開幕前の3月にキックオフパーティーが市内ホテルで開かれ、5月24日のホーム戦後には交流バーベキュー会が催された。少しずつ地域からの支持を集め、スポンサー数は当初の10倍程度の約100社に伸びた。
2月に甲賀市に移り住んだ上田莉帆選手(25)=神奈川県出身=はユニホーム姿でランニングしていると、応援の声がかかることがあるといい「企業や街の協力がないとサッカーを続けられない。活躍する姿で元気を与えたい」と語る。
チームの営業活動を担当する土谷葵選手(24)=城県出身=は交流イベントや試合観戦を通じ、地元企業とつながる「ビジネスマッチング」にも期待する。「試合観戦をビジネスツールとして活用してもらい、スポンサー企業のメリットになれば理想」と話す。
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