澤穂希さんら「なでしこ」の夢 女子サッカーを文化に
京丹後のチームも奮闘
日本女子サッカー界のレジェンド・澤穂希さんは少女時代、心底悔しかったことがあるそうだ。兄と同じクラブに入部を申し込むと、「女の子は前例がない」と門前払いだった。
母の訴えで渋々認められたが、再び壁が立ちはだかる。夢だった全国規模の大会は女子に出場資格がなく、参加できなかった。以後、どんな苦難にも弱音を吐かなくなった、とか。
女子サッカーは岐路に立つと言われる。澤さんら「なでしこジャパン」の活躍に人気が左右され、長くは続かない。切り札としてプロのWEリーグが誕生したが、集客面で苦戦している。ファンの拡大や企業支援は欠かせない。
そんな中、京丹後市で京都府北部初の女子サッカーチーム「KYOTO TANGO QUEENS」が奮闘する。先日、参入2年目になる関西リーグ2部の最終戦で1部昇格をかけたが惜敗した。知名度はまだ低く、「勝っても負けても応援されるチーム」を目指す。
選手は移住者も多い。市内のサウナ施設や工務店で働き、保育士も。人手不足の地元を支え、練習に励む。潮風にも耐え、強く優しく青紫の花を咲かせる、市の花トウテイランを思う。
女子サッカーを文化にしたい―。なでしこの変わらぬ夢だ。「カルチャー」には「耕す」の意味もある。地域を耕し、新芽を育てよう。きょうは文化の日。
Copyright ©京都新聞