2024.05.07|

「自分をはぐくむ」
子どもも、元子どもも
こどもの日に思う

川に掲げられ、風に泳ぐこいのぼり(与謝野町加悦)

5月の光と風を大きく吸い込み、気持ちよさそう。川や海辺で群れるように泳ぐこいのぼりを見ると、こちらも元気になる。

「ここで子どもを育てている」。そんな力強い、当地の人々の声が聞こえてくるようだ。

大空は大きな未来鯉幟(こいのぼり) 山田弘子

5日はこどもの日。こいのぼりは中国の登竜門伝説にちなむ。急流の滝を登り切り、竜になるコイは勇気の象徴とか。困難に負けず、強くたくましく。家族はもちろん、少子化が著しい今は、地域全体の願いでもあろう。

海の民学舎の実習でマダイの稚魚を放流する9期生たち(宮津市沖の若狭湾)
漁業インターンシップで定置網を扱う高校生たち(舞鶴市沖の若狭湾)

この若者たちも大海に出て大きく育ってほしい。漁師を育成する「海の民学舎」(宮津市)の新入生11人だ。京都府や府漁協などが開設し、今年の10期生は初めて定員を超えた。

研修期間は2年。ロープの結び方、網の補修から始まり、定置網や底引き網漁のほか、ブランドのトリガイ養殖を学ぶ。修了後は水産会社に勤務したり、熟練の漁師に弟子入りして独立したり。担い手不足の漁業を支える。

「自分をはぐくむ」と題する、子どもに向けた谷川俊太郎さんの詩を思う。

あなたはあなた自身を超えていく

自分を発見し続けることで

いつまでも新たな自分に出会うことで成長する、と国民的詩人は言う。

薫風の空の下、心の奥に響くのは子どもも、「元子ども」も同じだろうか。

 

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谷川俊太郎さんの児童詩「自分をはぐくむ」