2024.03.15|

「ワイドビュー」で丹後の景観満喫 
丹鉄の新しい特急車両KTR8500形
福知山-網野-豊岡間で運行

京都丹後鉄道が新たに導入した特急車両KTR8500形(宮津市文珠・天橋立駅)
広い窓からは、開放感のある景色が楽しめる(宮津市由良・由良海岸付近)

京都丹後鉄道の新しい特急車両KTR8500形のメディア向け試乗会が天橋立―西舞鶴間であり、オレンジ色のラインが入った〝JR東海カラー〟の車両が「海の京都」エリアを疾走した。あいにくの雨だったが、宮津市の景勝地・奈具海岸や由良川橋りょうからの眺望を、ワイドビューと呼ばれる大きな窓や床が高いハイデッカー構造の座席から見渡せる新車両の魅力をアピールした。

運転席側の窓が側面まで続き、客席の床が通路より高く、窓が広いのが特徴。京都丹後鉄道の車両を保有する第3セクター、北近畿タンゴ鉄道(宮津市)が老朽化した特急「タンゴエクスプローラー」の後継として昨年3月、JR東海から特急車両「キハ85系」を購入。丹鉄線を走れるように整備し、KTR8500形とした。

天橋立駅を午後0時16分に発車した車両は、岩に波が打ち寄せる奈具海岸や白砂青松の砂浜が続く由良海岸を臨みながら、川面が近く列車が浮いているように見える由良川橋りょうを渡り、45分後に西舞鶴駅に到着した。

車内からは、ワイドビューと呼ばれる運転席側の窓を通して前方の眺望も楽しめる(宮津市由良・奈具海岸)
後方の客室から見た由良川橋りょうの眺望(舞鶴市西神崎)

元JR東海の人気車両 「観光需要創出に最大限活用」

座席の床は通路より20㌢高くなっている
KTR8500形の車内。見晴らしがよくなるように、座席の床は通路より高く、窓も大きくしている

運行会社ウィラートレインズの飯島徹社長は、北陸新幹線金沢―敦賀間延伸開業に触れ、「見晴らしがよく、鉄道ファンの人気も高い車両。美しい海や山の景色を満喫してもらえるので、観光需要の創出に最大限活用する」と意欲を示した。また、「これまで丹後には京阪神からの観光客が多かったが、この車両を目当てに訪れる東海、北陸地方のファンをはじめ、新たな地域からの誘客にもつなげたい」と期待した。

新車両は3月16日のダイヤ改正で、大阪、京都方面からの列車に接続する特急「たんごリレー」として、福知山―網野―豊岡間を運行し、イベントや臨時列車にも活用する。

JR東海によると、キハ85系は既に引退しており、同型の車両は京都丹後鉄道でしか見られないという。

【車両情報】

キハ85系 JR東海の特急用気動車で、「ひだ」(名古屋-高山-富山)や、「南紀」(名古屋-新宮-紀伊勝浦)などの特急列車で活躍し、昨年7月に引退した。

 

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