2024.06.21|

体育館に壁画のアート
芸術家夫婦、後輩に贈る
丹後緑風高久美浜学舎

丹後緑風高久美浜学舎の体育館に描かれた花柄の壁画アート(京丹後市久美浜町)

京丹後市の京都府立丹後緑風高久美浜学舎(同市久美浜町)の体育館の外壁に、花柄模様の巨大な壁画アートがお目見えした。バラが次々と開花していく姿が鮮やかに描かれている。同高の前身・久美浜高出身の男性アーティストと妻の作品で、「自身の中にきっとある可能性を見つけ出してほしい」と、後輩たちへのメッセージを込めている。

壁画の最大幅は19メートル、最大高さは12メートルで、体育館北側の五角形の外壁(160平方メートル)全体に描かれている。

制作したのは、地元の久美浜町在住でアーティストユニット「210artworks(ツーテン・アートワークス)」として活動する小國克弥さん(33)=久美浜町出身=と妻の晶子さん(33)=亀岡市出身。克弥さんは大阪市内のデザイン系専門学校で学んでイラストレーター兼グラフィックデザイナーになり、京都市で歯科衛生士をしていた晶子さんと結婚した。晶子さんは2020年に退職し、お隣の与謝野町の織物工場や沖縄県のハンバーガー店に壁画アートを手掛けた夫とともにアート活動を始めた。

同高校での壁画制作は克弥さんの提案で昨秋から始まり、教職員らもデザインの考案に加わった。壁画の上部にいくにつれてバラが次々と開花する図柄は、在学中に軽音楽部の活動に打ち込んだ克弥さんが聴いていたザ・ブルーハーツの楽曲「情熱の薔薇」の歌詞「答えはきっと奥の方 心のずっと奥の方」から着想を得た。

「可能性見つけ出して」
花柄模様にメッセージ

壁画アートを描いた小國克弥さん(右から2人目)と妻の晶子さん(同3人目)ら

克弥さんは高校時代から絵を描くことが好きで、ノートの落書きを見た担任の先生から卒業文集の表紙を描くよう勧められたことが今の仕事につながったきっかけという。

「人の才能や良さは心の底にあり、自分で気付いていないこともある。先生や友だちとの会話の中で見つけてほしい」と在学生に思いを寄せる。

「Seed in you(可能性の種子はあなた自身の中にある)」。

壁画に添えたメッセージにはそんな願いを込めた。

 

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