2024.11.19|

ダルビッシュ投手らをサポート
峰山高野球部OB
内藤・パドレスコーチ

ワイルドカードシリーズ突破を決め、長男を抱いて喜ぶ内藤さん(10月)=本人提供

ダルビッシュ有投手や松井裕樹投手が所属する米大リーグのサンディエゴ・パドレスで、裏方として選手を支える京丹後市ゆかりの日本人がいる。トレーニングやコンディション調整分野のコーチを務める内藤良亮さん(40)。「マウンドなどで躍動する選手の姿を見るのが何より喜び」と、個々の成長や身体能力の向上につなげる仕事のやりがいを語る。

内藤さんは大阪府生まれで、小学3年時に丹後地域の旧岩滝町(現与謝野町)に転居した。少年野球クラブでは、3学年上の元阪神タイガースの糸井嘉男さんとも一緒にプレーした。中学でも野球に打ち込み、プロ野球で名を残した故野村克也さんの母校で、1999年の春の選抜で甲子園に出場した峰山高(京丹後市)に進学した。

峰山高では監督の方針で主に一塁を守り、投手でも2番手として控えた。プロ入りを見据え、3年時にスポーツ推薦で大学を目指したが、かなわなかった。母の知人から「野球に携わりたいなら、米国でトレーナーの道もある」と、勧められたことが転機になり、「大リーグでやりたい」と夢を抱き始めた。

峰山高野球部時代の内藤さん(右端)

専門知識と経験積み、夢の大リーグへ

渡米後、英語の勉強に励み、オレゴン州の短大へ。トライアウトを経て野球部に入部すると、道具を投げたり、ガムをかんだりしながらプレーする姿を目にし、カルチャーショックを受けた。

大学院まで計6年間学び、身体とホルモンの関係や、骨と筋肉の使い方などの知識を身に付け、大リーグ傘下のチームで実践経験も積んだ。大学院修了後は指導教授の紹介で、2011年に大リーグ・オリオールズに入団。22年にパドレスに移り、昨季まで若手の育成に携わった。選手の体の動きをより速く、強くしてメジャーの舞台で活躍できる土台づくりを目指した。

選手と接する際は、「今の体の動きでどれくらいの力を発揮できているか」や、ダッシュのスピードなどを数値化し、個別の練習を組み立てた。

「若手の育つのが目に見えることが面白かった」

丹後で過ごした少年時代や大リーグでの仕事について語る内藤さん(与謝野町岩滝)

今季からメジャー担当に

今季はメジャー担当に昇格し、ダルビッシュ投手らをサポートした。自己流の調整方法を持つ選手も多く、状態や希望を聞いてメニューをつくる。「成功している選手にはギブ・アンド・テイクが大切」と、マイナーとの違いを話す。

若くして海を渡ったことを振り返り、「常に意志を持って諦めずにいれば、道は開ける」と笑顔を見せた。

 

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