2023.12.01|

京丹後市観光大使の太川陽介さん
東京丹後人会の新会長に 「海、山の恵みが故郷の魅力」

京丹後市観光大使の太川さん。故郷の魅力や少年時代の思い出を満面の笑顔で振り返った(東京都千代田区)
東京丹後人会の総会に出席し、懇親会では司会を務め、記念撮影にも気さくに応じていた

京丹後市出身の俳優太川陽介さん(64)が、首都圏の丹後地域出身者でつくる「東京丹後人会」の会長に就任した。若くして東京に出て芸能界に入り、アイドルや俳優、タレントとして活躍してきた。忙しい中でも郷里のことを考えてきたという太川さんに、会の活動や古里への思いを聞いた。

―なぜ会長を引き受けられましたか?

若手の理事たちが、新しい会長に僕がいいのではと言ってくれたらしいんですよ。その話を聞いた時に、若手がそんな風に言ってくれるならやらなきゃいけないなと思った。こういう会が続くためには若い人が大事だし、そのために僕が力をお貸しすることができるならということで引き受けました。

―今後、どんな活動をしていきたいですか?

とにかく若い会員を集めたい。例えば地元の全ての高校に丹後人会のチラシを置かせてもらって、高校を卒業して東京に行く生徒たちに渡してもらう。大学進学とかで東京に引っ越してくる時に、地域の治安とか便利さ、家賃の情報を教えてあげることでつながりができる。そうすることで社会人になった時に会に入ってみようかなと思ってもらえる。1人でも多くの若者をサポートできるような会になればいいなと思っています。

―2017年に京丹後市初の観光大使に就任されました。丹後の魅力は何でしょう?

何よりも豊富な自然ですよ。海からも山からも恵みがある。こんなに条件がそろってる場所はそうそうない。東京に出て十数年たった時に丹後の海に泳ぎに行ったんですよ。海の色が3段階で深い青になっていくんですね。それまで沖縄とかできれいな海は見ていたけど、こんなにきれいな海が丹後にあったのかと感動しました。当たり前だったから気付いていなかったんですね。僕が丹後にいた頃は観光にそれほど力を入れてなかったけど、今はいろんな工夫をしていますね。

―丹後では少子高齢化が進み、若者は都会に出て行きます。古里の現状をどう見ていますか?

地場産業の繊維業界の衰退が気になります。あらがえない流れかもしれないけど、何とか復活できないかなと思っています。世の中が安いものを求める方向にいっている。本当に付加価値のあるものを作り続けている人が、ちゃんと生活できるようになってほしい。地域に仕事がないと若者が都会に出て行くので、若者をつなぎとめる地場産業が新たに生まれれば一番いいですよね。

―高校生の時に東京に出てアイドルや俳優として活躍されてきました。丹後時代の思い出はどんなことがありますか?

一番頭に残ってるのは、大宮から流れている竹野川の川べりの夕景ですね。家の前の小さな川ではコイやフナを手づかみして遊んだし、蛍も飛んでいました。僕が子どもの頃は家の周りは田んぼだらけで、稲刈りが終わると遊び場でした。積まれているわらの上から飛んで遊んで、小学校5年生の時にはもうバク転ができるようになっていました。20歳ぐらいでドラマの主演をやった時、立ち回りの最中にバク転ができたのはわらでの遊びのおかげです。みんなに「バク転できてすごいね」って言われました。わが家では正月は家族全員が着物を着てあいさつをして、子どもでも1人ずつ父親から今年の抱負を言わされていましたね。東京に出てからも長い間、お盆と正月だけは必ず帰るようにしていました。

―最近ではテレビ番組「ローカル路線バス乗り継ぎの旅」で人気を得られています。

あの番組はテレビの常識を変えた番組なんですよ。初回の時にゴールできなかったんですね。それまでのテレビの常識では必ず最後はうまくいくようになっていた。これを放送するのかなと思ったら堂々と放送したわけです。それがテレビ界では衝撃だったんです。しかも視聴率が良かった。一般の人たちよりも業界内の方が先にざわつきましたね。あの番組のおかげで小学生からもファンレターがきたり、ロケをやってると寄ってきて「見てます」と言われたりするようになりました。

―今後の芸能活動での抱負を聞かせてください。

僕は自分から何かをやりたいと言ったことがないんですよ。みんな周りが動いてくれる。歌から離れていた時期が長かったんですけど、デビュー40周年の時に周りが「ライブをやりましょう」って言ってくれて久しぶりにやったんですが、歌はやっぱりいいなと思った。もう一度、歌をちゃんとやりたい。年に1回、ライブをやっていきたいと思っています。

 

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丹後で撮影された5、6歳の頃の太川さん。子どもの頃は家の周りの田んぼが遊び場だったという(太川さん提供)
東京丹後人会の会長に就任し、「若い会員を集めたい」と意気込みを語る