2025.03.27|

丹後が生んだメダリスト
レスリングの高谷さんと井上さん
地元の応援に感謝

得意のタックルをやってみせ、レスリングの楽しさも伝えた
故郷のファンの前で講演する高谷さん(京丹後市網野町・アミティ丹後)

レスリング選手としてオリンピックでメダルを獲得した京丹後市網野町出身の2人が同町のアミティ丹後で講演した。昨夏のパリ五輪レスリングフリースタイル74キロ級で銀メダルに輝いた高谷大地さん(30)と、2004年アテネ五輪の同60キロ級で銅メダルの井上謙二さん(48)。2人とも試合や日頃の練習に臨む心構えなどを語り、応援してくれた故郷の人々に感謝の思いを伝えた。

高谷さんは、五輪代表を目指す中で支えてもらった米満達弘コーチから「緊張は体が固まることではなく、戦う準備をしているんだよ。緊張を恐れなくてよい」と声をかけられたという。この言葉のおかげで、2023年の世界選手権で前向きに試合に臨めたと振り返った。

パリ五輪では積極的にタックルを仕掛け、有力選手を次々と破った。高谷さんは大会前の取材で目標を聞かれても、「メダルを目指す」と答えるのが嫌で、「精一杯やります」とにごしていた。その理由について、「大きな目標を掲げるのが怖い。昨日できなかったことをできるようにするなど小さな目標を大切にしてきた」と当時の心境を明かした。

各試合の内容は全て鮮明に覚えているとし、「この選手に勝つではなく、練習してきたことを出し切る」との意識でマットにのぼった。高谷さんは「タイマーが鳴るまで攻め続ける練習を重ねてきた」と大会までに培った技術に触れて、「あの瞬間だけ強かったわけではない」と強調。決勝で敗れたが、試合後は関係者やファンの応援に感謝の気持ちがこみ上げたといい、競技の普及活動にも意欲を示した。

井上さんは現役時代、靱帯断裂の大けがで両足の手術を経験した。リハビリを経て再びタックルができた時に「夢に向かえるありがたさを感じた」といい、指導者や練習環境の大切さを強調した。

講演会の後、高谷さんは母校の府立丹後緑風高網野学舎で、市内のレスリング教室に通う園児から高校生に実技指導をした。自身が得意とするタックルを実際にやってみせながら、「タックルに入った後は最後まで頭を下げないように。そうすると相手は対処できない」と攻撃の極意を後輩たちに伝えた。

 

Copyright ©京都新聞

子どもたちを指導する高谷さん(京丹後市網野町・府立丹後緑風高網野学舎)
練習環境の大切さを語る井上さん