THE SPICE(スパイス)
多彩な味のカレー
組み合わせの違和感楽しんで

京丹後市久美浜町、市久美浜湾カヌーセンターのそばに店はある。築100年超の木造3階建ての日本建築。かつての料理旅館「濱茶屋」の1階は調理場とエントランス、2階に4人掛けの座卓四つとカウンター4席が並ぶ。大正期の雰囲気と現代的な装飾が調和する店内に、香辛料の香りが漂う。
スパイスカレー店を開業して5月で4年を迎える。オーナーの柴田琢磨さん(37)は同町出身。久美浜高を卒業後、大阪市内のアパレル会社で働いていたが、新型コロナウイルス禍を機に2020年、Uターンした。

「祖父母の営んだ料理旅館の建物で何かしたいという思いがあった」
大きな調理場を見て飲食店が浮かび、大好きなスパイスカレーの提供を決めた。ただ、飲食店での勤務経験はアルバイトのみ。大阪のイタリア料理店で勤務していた同級生の奥田真人さん(37)を「一緒にやろう」と誘った。
カレーの開発は妻の喜和さん(37)も加わった。約1年かけて試作試食を繰り返し、独自の味をこしらえた。
お薦めは「ザ・スパイス・スペシャル」(1820円)だ。定番のチキンカレーと月替わりの3種のカレーに、ガイヤーン(タイの鶏料理)やガーリックシュリンプなどをトッピングした「4種あいがけ」が人気を集める。
4月の月替わりは「ポークキーマ」と「イカ菜の花マサラ」「ホルモンマサラ」(25日まで)。ターメリックライスを囲むように甘口と中辛、辛口、肉を使わないカレーが盛り付けられ、多彩な味を楽しめた。
昨年からキッチンカーを出店。今後はカレールゥのネット販売やグッズ製作にも取り組む。柴田さんは「カレーはファッションと同じ。組み合わせの違和感を楽しんでほしい。建物や味、接客、店の内装もスパイスの一種なのでいろいろと感じてほしい」と話す。
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