2025.05.07|

新緑の季節
丹後屈指の古刹へ
森の寺、縁城寺

天に力強く伸びるシイの巨木(いずれも京丹後市峰山町橋木・縁城寺)

京丹後市峰山町、京都丹後鉄道の峰山駅東口から北東へ約4キロ。「はしぎの観音さん」の呼び名で親しまれている縁城寺(同町橋木)の静かなたたずまいが見えた。石段を登ると「京都の自然200選」のシイの樹林が天に伸びる。

樹齢300~400年の巨木が10本ほどだろうか。落雷の跡が残る木もあり、最大で幹回りが7メートル近くに達するという。住職の今村隆惠さん(40)は「昔はシイの実をいって、おやつ代わりに食べたそうです。ほんのり甘いと聞きました」。

本堂入り口に立つ仁王像

本堂の入り口。朱が残る仁王像の立派な姿に圧倒された。京仏師の鎌田喜内師による江戸末期の作で、あの京都・清水寺の仁王像を模刻したとされる。

丹後地域屈指の古刹で、開山は奈良期の717(養老元)年。寺号は桓武天皇、山号「發信貴山」は弘法大師空海から賜った。平安期作の秘仏の本尊「木彫千手観音立像」と、南北朝期に建てられた石造の「宝篋印塔」はともに国の重要文化財だ。府や市の指定文化財は枚挙にいとまがない。

寺近くの休耕田では、檀家総代の育てるハスが夏に大輪の花を咲かせるという。今村さんは「ここは森のお寺。自然に学び、癒やされて豊かな心を育んでほしい」と願う。

 

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