2023.06.20|

「共生」の象徴に。あいみょんのCMで脚光のツリーハウス

ここはどこ? 歌手のあいみょんさんがギターを奏で、女優の広瀬アリスさんはビールを楽しむ。2人がいるのは浜辺のツリーハウス。眼下には青く澄んだ海が広がる…。以前、放映されたテレビCMの話だ。

南の島のようだが、京都府北部・丹後半島の西端、京丹後市久美浜町である。ツリーハウスは2008年、市の依頼でクリエーターの小林崇さんが造った。うたい文句は「世界で唯一、海が一望できるハウス」。

「自然との調和」のシンボルになっているツリーハウス

いきさつが興味深い。現地の蒲井、隣接する旭両地区は1975年以降、原子力発電所の立地計画に揺れた。30年以上も結論は出ず、過疎化が進む。結局、市と地元は原発に頼らず、自然と調和する地域振興の道を選んだ。シンボルになったのが、このツリーハウスだった。

ツリーハウスの魅力を伝える詩人の佐々木幹郎さんを思う。佐々木さんは東京で生活しながら、週末に通う群馬県嬬恋村に友人たちとツリーハウスを建てた。自ら手掛けたからこその言葉がある。ハウス造りは木への賛歌とし、「木が自然との長い闘いをしてきた、その年月に寄り添うことが、人間に求められている」

久美浜のツリーハウスは補修を終え、海側から行楽客を迎えている。コロナ禍も落ち着き、森林や海の自然、内外から集う人々によって「共生」の象徴になればいい。きょうは夏至、丹後に夏が来る。

 

 

 

「海から行くツリーハウス」(右上)として人気を集めるシーカヤックツアー=京丹後市久美浜町蒲井