2023.05.29|

自然と古墳が織りなす絶景 大成古墳群

大きな石の造形物 草原に点在 散策路も整備

日本海に突き出た丹後半島の小高い丘に広がる草原を歩くと、大海原を背景に大きな石の造形物が点在する奇妙な光景が現れた。古墳時代後期(6世紀末~7世紀初め)に造られた「大成(おおなる)古墳群」(京丹後市丹後町竹野、市指定文化財)だ。

柱状節理の丘からは、丹後半島沖の日本海を一望できる

一帯は、約2500万年前の日本海形成に関する地層や海岸の地形などが観察できる「山陰海岸ジオパーク」の一部となっている。「ふーう」。雄大な自然と古墳群が調和した絶景にみとれ、ため息が漏れた。

古墳群がある丘は、「柱状節理」と呼ばれる柱状にできた割れ目の安山岩でできている。古墳群の石室は、その独特の形状が利用された。1967(昭和42)年に3基(7、8、9号墳)が発掘調査され、多数の須恵器や鉄刀、金環などが出土した。8号墳からは、日本海にそそり立つ柱状節理の一枚岩「立岩」が古墳と重なるように見える。今は散策路が整備され、観光スポットとしても親しまれる。

柱状節理で構成された「大成古墳群」の一部。背景には、同じ柱状節理の一枚岩「立岩」(中央奥)が見える=京丹後市丹後町竹野

山陰海岸ジオパークの公認ガイドを務める中江忠宏さん(80)=丹後町=は「崩落して波打ち際にあったはずの大きな岩をどうやって、高台に運び上げたのか」と古墳の成り立ちに想像を巡らせる。

「古墳時代の人々も同じ風景を見ていたのだろうか」。悠久の地球の歴史と〝丹後の先人〟の営みに思いをはせた。

 

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