2024.03.01|

丹後の絶景にご用心!
日本三景・天橋立
「股のぞき」で転落

落下防止の手すりを握り、股のぞきをする観光客

日常ではめったにお目にかかれない観光地の絶景は人々の心を魅了し、旅情をかき立たせてくれる。だが、絶景を望める場所は一歩間違えると絶叫したくなるほどの高所が多い。京の清水寺の舞台、南禅寺の三門ー。

先日、京都府を代表する日本三景・天橋立で「股のぞき」をしていた観光客が転落する事故が起きた。同僚がふざけて体に触れたのが一因とみられる。京丹後市の名所も含め、丹後地域の絶景を楽しむ際はあらためて十分注意を。

落下防止の鉄柵越え落下
管理者「手すりを持って」

股のぞきをする際の注意が書かれた看板(宮津市大垣・天橋立傘松公園)
展望台奥に設けられた落下防止の鉄柵

2月15日午後2時20分ごろ、宮津市大垣の天橋立傘松公園で、名勝・天橋立を逆さに望む「股のぞき」をしていた50代の男性が展望台から落ち、山の斜面を約15メートル転げ落ちた。宮津署や公園を管理する丹後海陸交通の成相営業所によると、男性は胸を強く打つ大けがを負った。命に別状はないという。

同署によると、男性は友人とふざけ合って体を押され、転倒したという。同営業所の説明では、展望台の前は天橋立が見えるよう柵を設けていないが、崖の手前に落下防止の鉄柵を設けているという。男性はその柵を越えて転落したとみられる。担当者は「股のぞきの際は展望台の横の手すりをしっかり持ってほしい」と呼びかけている。

重文・経ケ岬灯台の麓で「あわや」
常連の写真愛好家「マナーに気をつけて」

経ケ岬灯台山道前の駐車場でハヤブサを撮影する写真愛好家たち(京丹後市丹後町袖志)

他人事ではない。宮津市に接する京丹後市にも絶景の名所は多くある。

ドライブやサイクリングのコースとして人気が高い、日本海沿岸の「山陰海岸ジオパーク」。特に、京丹後市丹後町から伊根町蒲入へと抜ける国道178号からの眺めは、眼前を広がる日本海と荒々しく削られた岸壁の迫力に圧倒される。

国の重要文化財「経ケ岬灯台」へと続く山道前に設けられた同市丹後町袖志の駐車場には、ドライブの休憩をとる家族連れやハヤブサを撮影する写真愛好家が全国から集う。断崖には95センチの柵が設けられており、目の前には日本海が広がる。好天に恵まれるとその奥に白山(石川県)の山並みを望める。

そんな自然がつくり出した絶景スポットで「あわや」を目撃した人たちがいる。

兵庫県加古川市から毎週ハヤブサを写真撮影しに来ている男性(65)は「子どもが柵に上って身を乗り出そうとしているところを見たことがある」と明かす。親が近くにいて、大事に至ることはないが、こうした光景を触れるたびに心配になるという。

20年前からハヤブサの撮影で訪れている綾部市の男性(79)も「バスガイドの女性が、持っていた紙を風で飛ばされて、柵を越えて取りに行っていることがあった」。

さらに、「柵を越えて写真を撮っている人が110番通報をされて注意を受けているのも2度あった」という。

男性たちは異口同音に「事故が起きないよう、マナーを守って観光してほしい」と訴えた。

 

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目の前に日本海、山の奥に灯台を望む