2025.05.08|

日本海側最大の前方後円墳
網野銚子山、史跡整備完了
葺石や埴輪列を復元

葺石や円筒埴輪が復元された網野銚子山古墳で行われた整備完了記念イベント(京丹後市網野町)

京丹後市網野町にある日本海側最大の前方後円墳「網野銚子山古墳」の史跡整備が完了した。墳丘の葺石や埴輪列が復元され、近くにガイダンス施設もできた。4月26日には完了記念イベントがあり、古代に思いをはせる多くの人が訪れた。

盛り土で形が復元された網野銚子山古墳の前方部

網野銚子山古墳は国指定史跡で全長201メートル、高さ17メートル。4世紀後半に築造されたと推定され、墳丘は三段になっている。

整備は同市が2018年度から総事業費4億5800万円をかけて実施。墳頂部の手前に階段を整備して周辺に葺石を配したほか、中央部に円形の穴が開いた「丹後型円筒埴輪」も復元した。盛り土をして後円部から前方部にかけての墳丘の形も補修した。

近くには平屋建てのガイダンス施設と駐車場を新設。海を通じて交易を担ったとみられる被葬者などの説明板を設置し、トイレを完備した。

完成した駐車場のあるガイダンス施設
整備完了記念イベントで販売された古墳や土器をモチーフにした手ぬぐいやバッグ
整備完了記念イベントで古代人のコスチュームを楽しむ人たち

完了記念イベントでは式典や古墳関連グッズの販売やキッチンカーの出店、ダンスパフォーマンスがあり、来場者は墳頂部に上り、日本海を望む眺めも楽しんでいた。

新旧の発掘担当者のトークショーでは、三浦到・元丹後古代の里資料館長が「全国で全長が180メートル以上の巨大な前方後円墳は49基あり、大阪府と奈良県以外では10基しかない」と指摘。「天皇陵に準ずる人の墓がなぜ丹後に造られたのかという謎を再認識してほしい」と語った。

市教育委員会文化財保存活用課の岡林峰夫課長補佐は「整備をきっかけに、自由に来てもらい、いろんなことに使ってほしい」と活用を呼びかけた。

 

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