国民的大ヒット作『喜びも悲しみも幾歳月』からおよそ30年後、木下惠介監督が松竹大船撮影所50周年記念作品として再び灯台守夫婦の13年に及ぶ姿を描いたヒューマン映画。
物資の乏しい中、転勤に次ぐ転勤で悲壮感すらあった前作の灯台守の厳しいありようと比べて、今回はさすがに時代も移り変わって豊かになっていることもあり、そういった過酷な情緒は薄らいでいるが、かわって主人公の芳明とその父親の関係性に大きく焦点を当てているのが特徴で、またその中から夫婦の変わらぬ愛を大らかなユーモアを交えつつ、抒情的に醸し出すことにも成功している。
飄々とした老父を演じた植木等は同年度の助演男優賞を総なめした
- 公開(放送)年
- 1986年6月
- 監督名
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木下 惠介
日本の映画監督・脚本家。真面目で抒情的な作風で知られ、数多くの映画を制作。
この作品のロケ地
●啓二郎(中井貴一)を、朝子(大原麗子)が運転する車で迎えに来るシーン。
現在の京都丹後鉄道「網野駅」は新しい駅舎となっているが、本編中に映し出される映像には、当時の旧・網野駅舎や駅前ロータリー、食堂・たばこ屋などが当時の姿のままこの作品の中に残っている。
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■木下惠介生誕100年 映画「新・喜びも悲しみも幾歳月」