近年、「長寿のまち」で知られる京丹後。その秘訣とも考えられるのが、豊富な食資源です。その中のひとつが、日本海の荒波で揉まれたミネラルたっぷりの天然わかめ。昔から愛され食べ続けられてきたわかめには、京丹後ならではの加工法と食べ方があります。
幻⁉の天然生わかめ
わかめ漁解禁!
丹後の浜では、わかめの芽吹きで春を知るといいます。まだまだ海の冷たい京丹後の3月下旬に漁師が、海に出て柔らかい新芽を早採りしていきます。漁が解禁されると、6月下旬にかけて波の穏やかな日に小型船で、採貝藻(さいかいそう)漁業が行われます。
わかめ漁は、沿岸近くの浅いところで箱メガネで海底を覗く水視漁法で行われます。長い竹竿の先に付けた「鈎(かぎ)や「鎌(かま)」でわかめを根元から刈り取ります。
水揚げされたわかめは、生わかめとして出荷される以外に、熟練の漁業者により、新鮮なうちに海風が当たる海岸でていねいに天日干しし乾燥されます。これが「板わかめ」「乾わかめ」という名前で地域の店頭に並びます。生わかめも干しわかめも、そのほとんどが地域でしか出回りません。
板わかめは春を告げる風物詩
漁獲されたわかめは、流水で丁寧にゴミを洗い落とし、真水に漬けて脱塩を行います。その後、乾燥用の板の上にわかめを隙間無く並べて天日干しをし、「板わかめ」にします。この手間暇をかけてこそ、ぱりぱりと歯ごたえのある美味しい板わかめに仕上がります。一部の地域では、板の上に並べるのではなく、一本ずつロープや洗濯バサミに挟んで「絞りわかめ」に加工することもあります。漁村でわかめを干す風景は、京丹後に春の訪れを感じる風物詩となっています。
美味しく食べる健康食
ばりばりとした食感が美味しい板わかめは、そのまま食べることができます。磯の香りとほどよい塩分はお酒のつまみにもぴったり。また熱々のご飯に、パラパラとふりかけて食べればおかずいらず!どんどん箸が進みます。火であぶると、パリパリ感が増しておすすめです。
わかめは、「海の野菜」とも呼ばれている海藻の一種で、高血圧や糖尿病などの予防に効果を発揮する「アルギン酸」が含まれています。ナトリウムやカルシウムなどのミネラル分も多く含まれており、近年は長寿食としても人気があります。
漁師がこだわり抜いたわかめは、磯の香りが強く大変美味です。
京丹後の魚屋やスーパーマーケット、土産物店で販売されいます。
京丹後の宿で食べることができる「わかめのしゃぶしゃぶ」も人気で、生わかめをさっと、湯を通すと、
驚くほど鮮やかな緑色になり、磯の香りがふんわりとし、コリコリした食感が楽しめます。
鮮度抜群のわかめのしゃぶしゃぶを贅沢に、お宿でご堪能ください。
日本海の荒波で育つ天然のわかめ。丹後産のわかめは、単年生で水深1~2メートルあたりの岩場に自生し、採れる量が少ないため、なかなか市場に出回らない貴重なわかめで、地元でもなかなかお目見えしません。そんな幻とも言える天然生わかめは、春の限られた期間だけ、京丹後市内で食べることができます。
京丹後市内の宿では、春の訪れ感じられる旬の料理として提供されます。特に、さっと湯に潜らして食べる「わかめのしゃぶしゃぶ」は、湯につけた瞬間、茶色から色鮮やかな緑に変わる様は見て楽しく、そして口に入れると海の香りとコリコリシャキシャキの食感に感動します。